AI給餌機 「ウミトロンセル」 を活用し、給餌管理や作業負荷等において、持続可能な養殖モデルを構築するプロジェクトです。

プロジェクトの背景

愛媛県の海面養殖は全国有数の生産量を誇りますが、国内の水産物消費量の低迷に伴い、2000年前後をピークに生産量は右肩下がりとなっています。 経営体数 ・ 就業者数についても減少の一方であり、就業者の高齢化も深刻です。

このような状況下において、持続性のある養殖を行うには、作業負荷の低減 ・ 無駄餌の排除 ・ 良質な生育の担保が重要です。 しかしながら、従来の給餌方法は人力給餌であり、無駄餌や労働負荷が多く発生しておりました。 そこで、AI給餌機 「ウミトロンセル」 を活用し、サステナブルな養殖方法の確立を目指すこととなりました。

 

ウミトロンセルとは?

ウミトロンセルの特長は、AI搭載及び遠隔操作可能の2点です。
AIが生簀内の魚の食欲を判定し、都度、適正給餌量に制御します。 また、スマートフォンの専用アプリから給餌指示を出すことができ、リモートでの自動給餌が可能です。 このため、経済性 (養殖コストの7割を占める餌代の削減) ・ 労働環境 (現場作業の軽減等) 両面での改善が期待できます。

給餌内容は、専用アプリに自動で記録されるので、振り返りや分析にも活用できます。 データ蓄積が進むことで、生育漁場や種苗種ごとの生育特徴もクリアになるため、チーム内でのノウハウ蓄積にも繋がっています。

ウミトロンセル

プロジェクトの進捗

ウミトロンセルの効果検証を目的に、22年7月末より、3か月間のフィールド試験を行っております。 同時期に導入したマダイの成魚を、従来の手り給餌とウミトロンによる給餌による2つのサンプルに分けて、両者を比較観察していきます。
9/26時点の進捗としては、平均魚体重・増肉係数ともに、ウミトロンセル給餌が従来の手やり給餌を上回っている状況です。 最終的には、10月末までの3か月間の生育結果を踏まえた評価となりますが、現時点では、ウミトロンセルの有用性が認められます。

2022/9/26時点 データ

飼育
期間
放養
尾数
平均魚体
体重
平均
尾叉長
肥満度 増肉
係数
日間
給餌率
手やり 67日 8,023尾  1.77kg  40.3cm  27.04%  2.01倍 0.75% 
ウミトロン
セル
67日 7,746尾 1.90kg  41.3cm  26.97% 1.86倍  0.83% 

 

 

今後の展望

  • 低魚粉飼料の活用と組合せたサステナブル養殖方法の確立
  • 地元の生産者さまに向けたウミトロンセルの普及
  • 給餌データや生育データの活用

    今後は、当社が開発している低魚紛飼料とウミトロンセルを組合せたサステナブル養殖として、地元の生産者さまへの普及を目指していきます。 また、給餌データや生育データ等の蓄積データの活用も検討してきます。

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