水産会社の社員が語る 「おさかな雑学」
 ──見極め方、さばき方、鮮度の保ち方

イメージ:水産会社の社員が語る 「おさかな雑学」   ──見極め方、さばき方、鮮度の保ち方
2022.11.22

美味しいけれど、何かと調理工程が多くなってしまう魚料理。 面倒だからと諦めていませんか? 新鮮な魚の見分け方、さばき方、鮮度の保ち方……。 より美味しく、より楽しく魚を食べるためにはどんなコツがあるのでしょうか。

水産会社のダイニチで働き、日々魚と向き合っている “魚のプロたち” に、素朴な質問をぶつけてみました!

お話を聞いた方

生産事業部 生産管理グループ 畠山亮
ハマチ・カンパチなど青物の魚の仕入れを担当。

生産事業部 生産管理グループ 清家史儀
鯛の活魚の集荷段取りを担当。

生産事業部 製造グループ 梶原光世
魚の飼料「モイストペレット」の生産事務。

どこを見たらいい? 新鮮な魚の見極め方

宇和海で暮らしている鯛さんは、食卓に並ぶ魚料理について気になることがあるようです。

こんにちは! 私たち魚が、どんな風にみんなに食べてもらっているかを知りたくて来ました! 色々質問したいのですが、皆さんは、新鮮な魚をどう見極めてるんですか?

見極めるポイントは、 「まるごと一尾」 なのか 「切り身」 なのかで変わるよ。

 

ちなみに、何の処理もしていない魚まるごと一尾を 「ラウンド」 、内臓とエラを取り除いた魚を 「セミドレス」 、頭と内臓とエラを取り除いた魚を 「ドレス」 、三枚におろした魚を 「フィーレ」 って言うんだ。

 

へぇ! 形状によって呼び方が変わるんだ。 じゃあ、ラウンドとフィーレで見極め方はどう違うの?

お店でよく目にするフィーレから話すね。 既にさばかれているからパックで販売されているけど、下にシートが敷いてあるのを見たことはないかな?

時間が経ってくると、 「ドリップ」 といって水分が付いていくの。 できるだけ水分が溜まっていないものの方が時間が経っていない新鮮な魚だよ。

そうなんだ! じゃあ、ラウンドの時はどこを見てるの? 切り身よりも見極めるのが難しそう……。

ラウンドは今じゃあまり見かけなくなっているかもしれないね。 一番最初に見るのは、 「目」 と 「体表」 かな。 目は白く濁っていないか、体表はツヤ感がある方が良いから、乾きやスレがないか(鱗がはがれていないか)をよく見るね。

例えばハマチだと、体表の黄色いラインや上部の青いところの色が薄まっていないか、他には尻尾が赤くなっていないかを見ることが多いかな。

 

実際に触ってみることはあるの?

そうだね。 ラウンドの場合は、持ってみることもあるよ。 実際に持ってみていいかは、事前にお店の人に聞かなきゃダメだよ。

実際にお店に並んでる魚を見て、見極められるかやってみたいです!

ぜひやってみて! でも、最近はどのお店でも新鮮な魚が置かれるようになっているなと感じているよ。 いつでも新鮮な魚を食べられることに感謝しなきゃだね。

切った後の処理も大切! 魚のさばき方のコツ

 

買った後、さばくのもコツがあると思うんだけど、包丁とかこだわったりするの?

意外と一般的な出刃包丁を家では使っているかな。 大きい魚をさばくなら、できるだけ刃の長い包丁を使って一度で切り落とせる方が良いね。 その方が、身の断面もきれいになるよ。 押したり引いたり、ギコギコするのが一番だめなんだ。

さばくことよりも、その後の処理の方が大切かもね。 頭を落として内臓を取り出すと、血でまな板が汚れるでしょ? 血合いを流した後は、まな板を変えて、できるだけ水を使わずに処理した方が鮮度を保てるんだ。

さばいた後はあまり水で流さない方が良いんだ…!

 

あとは、何を作るかによってさばき方は少し変わるね。 お刺身なら皮をはぐから鱗を取らなくてもいいし、煮魚なら皮を残している方が見た目も良いからね。

奥が深いんだなあ。 どんな料理にするか考えるのも楽しそう!

丸ごと買って自分でさばけば、色々な料理に使えるからお得だし良いよね。

形状によって変わる 保存方法と鮮度の保ち方

 

魚って鮮度が重要だから保存方法も大切だよね? 買ったそのまま冷蔵庫に入れておくのじゃだめなのかな。

そうだね。 これもラウンドかフィーレで変わってくるんだけど、フィーレならキッチンペーパーや新聞紙、ラップに包んで保存するのがおすすめだよ。 水分を取ってあげた方が良いんだ。 冷凍するのもOK。冷凍したら、煮つけかフライで食べると美味しいよ。

ラウンドは? 一尾丸ごとだし、そのまま置いておいても大丈夫そうな気もするけど……。

ラウンドは頭と内臓を取り除いて、血合いをきれいにしなきゃだめだよ! 魚は血のある内臓から腐っていくの。 だから、もし買ったその日に食べないなら、頭と内臓の処理までは買った日のうちにやっておく方が新鮮さを保てるよ。 でも、できるだけ骨や皮からは外さない方が良いから、ドレスの状態で保存して、実際に食べるときに切っていくのがおすすめかな。

調理方法を変えて何日も楽しめる 魚の食べ方

 

へぇ! とても勉強になりました。ちなみに皆さんはどんな風に魚を食べているの?

丸々大きな魚を食べるときは、大体最初はお刺身にして、その後は塩焼きやフライにするかな。 一品を大量に作ると飽きちゃうから、手間だけど、できるだけ小分けに色んな料理に使うようにしているよ。

魚の腹回りは火を通さず刺身に回した方が美味しいよね。 背は炊いたり、尻尾はフライにしたり、部位によって調理方法を変えると楽しいね。

 

うちだと、ブリなら初日は刺身。2日目はブリしゃぶ、3日目は煮付けにして全部食べきってしまうね。 冬場が旬だから、刺身以外もとても美味しいよ。

地域によって違うけど、私の実家だと年末年始にブリを日陰で寒ざらしにして食べる習慣があるんだ。 1~2日干して、使う分だけ切って少しずつ食べているよ。 身が凝縮してとても美味しいんだ。

色んな楽しみ方があるんだね。 僕も今日学んだことを活かして魚料理にチャレンジしたいと思います!ありがとうございました!

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